イタリア留学情報

イタリアの教育制度

1088年創設のヨーロッパ最古のボローニャ大学をはじめ、歴史と伝統を誇る大学が全国各地に約90校あり、その多くが国公立で、教育の質やレベルでも世界的に高い評価を受けています。イタリアならではの最先端の分野も多く、また各大学の精力的な国際化もあいまって、世界中から集まった教授陣や学生による国際的な環境で学ぶことができます。

全国各地にある大学のほとんどは国公立で、基礎課程から専門研究までのさまざまなコースを開設しています。

大学の種類

• 総合大学
• 工科大学＜Politecnico＞
• 建築・医学・食文化・科学などの専門大学
• イタリア語の研究や教育を専門とする外国人大学＜Università per stranieri＞
• 日本からの登録・受講が可能な通信制の大学

国際化が進むイタリアの大学では、英語で講義が行われる学位取得コースが年々増加しており、英語だけでの学位取得も可能です。こうしたコースは、世界各国から留学生が集まっていることも特徴の一つ。多様な文化的背景をもつ学生との交流を通じて、国際的な広い視野が身に付きます。

イタリアの高等教育機関はほとんどが国公立。教育の質が高いのはもちろん、学費は低く設定されています。これは教育の機会均等の理念に基づいてのこと。大学の通常の学費はおおよそ15～20万円（年間）で、留学費用を抑えることができます。

教育体系は大きく2つの課程（サイクル）に分けられています。第1課程には初等学校（Scuola Primaria、5年）と前期中等学校（Scuola Secondaria di Primo Grado、中等学校相当、3年）が、第2課程には後期中等学校（Scuola Secondaria di Secondo Grado、高等学校相当、4～5年）が属しており14歳～19歳の学生が学んでいます。なお、第2課程の後期中等学校には、文系／理系普通高校、芸術高校、技術学校（専門養成学校）等があり、専攻体系により修学年数が異なります。第1課程は全課程を通じて義務教育、第2課程については最初の2年が義務教育として定められています。

後期中等学校は教育体系の第2課程に続く高等教育機関には、大別して、高等技術教育機関（Istruzione e Formazione Tecnica Superiore - IFTS）、芸術・音楽高等教育機関（Alta Formazione Artistica e Musicare AFAM）をはじめとする芸術・音楽分野に特化した高等教育機関、そして大学(Universita)があります。大学進学には、後期中等学校終了時の卒業国家試験に合格していることが条件となるものの、理系学部等の一部を除いては、大学個別の入学試験は設けられていません。

イタリアの大学・大学院の教育システムは、3段階に分かれています。イタリアの大学では、第1レベル（3年間の基礎課程）、第2レベル（2年間の専攻課程）、第1・第2レベルの一貫コースに分かれて、それぞれの専攻コースが設置されています。この中から、いずれかの専攻コースに登録し、必要な単位を取得して卒業試験に合格すると、学位が取得できます。

第1レベル（Corso di Laurea（Bachelor’s degree programme））とは

3年課程の基礎コースで高等学校を修了して登録する学士号コースで専門知識は問われません。日本からの出願する場合は日本の高等学校を卒業しており、9月初旬に実施される入学試験に合格することが必要です。

第2レベル（Corso di Laurea Magistrale non a ciclo unico（Master’s degree programme））とは

3年課程の基礎に続く、2年課程の専攻コースで上記3年課程の基礎コースの知識が前提とされている修士号取得コースです。日本から出願する場合は専攻分野で上記3年課程修了と同程度の専門知識が必要とされます。日本の4年制大学卒業資格（学士号取得）と9月に実施される入学試験に合格することが必要です。

基礎と専攻課程の一貫コース（Corso di Laurea Magistrale a ciclo unico ）とは

基礎と専攻課程の一貫コースで5～6年間の課程になります。 医学、歯科学、獣医学、薬学、建築学などの分野に設置されています。 基礎と専攻の一貫コースをすべて修了して学位（修士号）が授与されます。

EU圏外学生定員制（外国人枠）

イタリア大学省の規定により、各大学・各専攻コースでは EU 圏外の学生の入学には定員 (「外国人枠」とも言われています)があり、この定員割当がない場合は、その大学・コースに出願できません。EU圏外学生定員については、留学する年の春にイタリア大学省がその年度の定員をウェブサイト上で発表しますので、そこで確認することができます。⇒イタリア大学省

留学期間とビザの有無

大学入学目的以外の語学留学で90日以内の場合＝学生ビザは不要です。90日以上の留学、大学入学目的の入国の場合＝学生ビザが必要です。申請は、申請者の居住地により、大使館もしくは総領事館で行います。申請には本人が出向かなければならず、第三者による代理申請はできません。主に必要とされる書類や申請方法は、大使館や総領事館のウェブサイトで確認し、不明瞭な部分については大使館や総領事館に直接問い合わせてください。

2016-2017年度より、受験用の「就学ビザ」を取得せずにイタリアに行き、入学試験を受け、合格したら日本に戻って「就学ビザ」を申請・取得し、イタリアに再入国することになりました。

イタリアビザについての詳細、最新情報は在日イタリア大使館の情報をご参照ください。⇒在日イタリア大使館

滞在許可証

入国後8日以内に滞在地を管轄する中央警察（Questura）で、滞在許可証（Permesso di Soggiorno）の取得手続きを行ってください。州中央警察のサイトよりオンライン手続きが可能です。

申し込みの時期は

短期留学であれば出発の1～2か月前までには、そして学生ビザが必要な場合は出発の3～4か月前までに申し込みをすると手続きに余裕ができます。

約6,020万の人口と約30.1万平方キロメートルの国土を擁すイタリアは、アルプス山脈から地中海の中央に伸びたイタリア半島と、シチリアやサルデーニャなどの島々から構成されています。北から南まで20州に分かれ、それぞれの地域が独特の自然、歴史、文化の魅力で溢れています。地中海文化圏の中心に位置するイタリアは、さまざまな国と交流して多様な民族を受け入れ、まさに異文化の交差点という役割を果たしてきました。このような歴史を背景にした国際的な環境は生活や学びの場でも実感できることでしょう。

国土の広いイタリアでは、地域によって気候が大きく異なります。イタリアの季節は、乾期と雨期の二つに大きく分けられます。細かくは4つの季節があり、1月と2月が冬、3月から5月までが夏（酷暑期）、6月から9月までは季節風（モンスーン）による雨期、10月から12月のポスト・モンスーンとなっています。一般的にイタリアの旅のベストシーズンとされるのは11～3月頃です。

細長い形をしたイタリア半島は、南北で気候に差があります。北部はアルプス山脈があるため、冬は寒く、夏は適度な湿気があります。中央は比較的温和な気候で、夏と冬の差も北部に比べると少ないです。

ただ、フィレンツェなど盆地の街では、夏場は多少蒸し暑くなります。南部や諸島部の冬は、それほど厳しくなく、春と秋は、イタリア北部の夏に近い気候です。夏は湿気は少ないものの暑く、太陽がフランス全土に照りつけます。南部は30℃を超える日が続き、日焼けを楽しむためビーチで過ごす多くの人々が見られます。また山岳部ではトレッキングやハイキングでフランスの地方の魅力を発見することもできます。

イタリア時間は日本時間より8時間遅れています。夏時間を実施しており、その間は7時間の時差となります。

• 夏時間への移行日：3月の最終日曜日より
• 冬時間への移行日：10月の最終日曜日より

イタリア政府認定の「イタリア語検定試験」は、外国語としてのイタリア語のコミュニケーション能力を証明するものです。イタリア語検定試験の合格認定証は、イタリアの高等教育機関（大学・音 楽院・美術学院）の入学審査で、イタリア語力を証明するものとして使用できます。また、数多くの人が自分のイタリア語力を測るために受験しています。

検定試験には4つの機関が実施している試験があり、それぞれが発行する認定証は互換性があります。イタリア「欧州評議会設定標準語学習得レベル」に基づき、イタリア語習得レベルは基礎から最上級の6レベルに分かれています。

• CILS（シエナ外国人大学）
• CELI（ペルージャ外国人大学）
• Certifi cazione Italiano（ローマ第三大学）
• PLIDA（ダンテ・アリギエーリ協会）

上記4つの検定試験の内、CILSとPLIDAは日本での受験が可能です。検定試験のB2, C1, C2レベルの合格認定証保持者はイタリア大学・音楽院・美術学院の入学試験で語学試験（イタリア語）が免除されます。

※シエナ外国人大学CILSについて
イタリア政府認定のイタリア語検定試験で、イタリア文化会館で6月と12月の年2回実施されています。申し込みには「CILS申込書」とパスポートのコピー（写真が掲載されているページの見開き）が必要です。「CILS申込書」はイタリア文化会館ウェブサイトでダウンロードできます。基礎～最上級まで6つのレベルに分けられています。

※ダンテ・アリギエーリ協会PLIDAについて
イタリア内務省、イタリア外務省、イタリア労働社会政策省、イタリア教育・大学研究省公認のイタリア語検定です。ローマ、ラ・サピェンツァ大学監修のもと、ダンテ・アリギエーリ協会が発行する公的な資格認定証です。年2回5月と11月に実施されています。受験にはダンテ・アリギエーリ協会に入会（有料）する必要があります。受験には申込書、パスポートや免許証の身分証明書、ダンテ協会会員証が必要です。詳細はダンテ・アリギエーリ協会ウェブサイト（ダンテ・アリギエーリ協会イタリア語検定）を参照してください。

学ぶ学校の形態は

語学研修機関は大学付属の語学コースとその他の語学学校の2種類に大別できます。

1．大学付属の語学コース

a．期間

大学付属の語学コースには、通年のものと夏期・冬期など期間を限定して開講されているものがあります。通年コースの場合、1コースが1～6か月で、毎月開講しているコースや年4回程度開講しているコースがあります。夏期のみ、冬期のみなど期間限定の短期コースは一般的に3～5週間です。

b．プログラム内容

通年コースの場合、初級では語学の習得に重点がおかれますが、中級以上になると語学に加え、様々な文化講座を受けることができます。また一定のレベルに達すると、その大学の正規課程に入学申請する際の語学試験が免除されることもあります。夏期や冬期の短期コースでも、語学以外の文化講座や小旅行などが用意されている場合があります。大学付属の語学コースの授業料は語学学校に比べて安く、したがって、1クラスの人数が比較的多いようです。通常はコース開始前に簡単なテストが行われ、受講者のレベルにあったクラスに振り分けられます。

c．応募資格

基礎的なイタリア語力を身につけていることが望ましいとされていますが、ほとんどのコースは初級レベルから入学が可能です。ただし、学歴や年齢の制限を設けているコースや、交換留学生やその大学の正規課程の学生など特定の学生のみを対象にしたコースもあります。

d．出願方法・出願期限

一般的な提出書類は、申込書、申込金（申請料）・授業料の支払い証明書などですが、写真や卒業証明書、イタリア語の試験のスコアなどが必要となる場合もあります。提出書類および申込期限は学校によって異なりますので、各校のパンフレットやウェブサイトで確認してください。出願者が多い場合は、期限前でも申し込みを締め切ることがあるため、ビザの取得期間も含め、早めの出願を考慮する必要があります。また、万一に備え、すべての提出書類はコピーをとっておきます。

2．語学学校

a．期間

1日4時間、週20時間が一般的なコースです（就学ビザの申請には、週20時間以上の授業時間数を明記した入学許可書の提出が求められます）。期間は1～4週間のものが多いですが、それ以上のコースも設定されています。毎週開講、また毎月開講のコースもあります。

b．プログラム内容

入門から上級まで各レベルの受講が可能です。コースの長さや授業時間、文化コースや課外授業などを比較的自由に選択できます。1クラスは、少ないところでは3～6人、多くて10～12人程度です。コース開始前に簡単なクラス分けテストが行われます。

c．応募資格

必要な語学力や応募資格は特にありませんが、年齢下限を設けている学校もあります。

d．出願方法・出願期限

一般的な提出書類は、入学申込書、申込金（申請料）・授業料の支払い証明書などです。提出書類および出願期限は学校によって異なりますので、各校のパンフレットやウェブサイトで確認してください。出願時期についてはビザの取得期間も考慮する必要があります。また、万一に備え、すべての提出書類はコピーをとっておきます。

費用について

学校によりますが月当たりの予算（授業料・宿泊費・現地諸経費）は15～30万円に渡航費（航空券や海外旅行保険など）を見込んでください。

イタリア語のほかに学べる内容は

イタリア文化、音楽、ファッション、イタリア料理などのおけいこコースを提供している学校があります。

滞在タイプの種類は

私立語学学校であればホームステイのほか、学生アパートやレジデンスの手配を行っているところが多く、大学付属語学学校はその大学の学生寮に宿泊できるところもあります。