フランス留学情報(高等教育機関)
フランスの教育制度
フランスは英語圏に次いで非英語圏の国の中で留学希望者の多い国のひとつです。まずはフランスの高等教育機関に留学する際の基本事項をご説明します。
バカロレア(Baccalaureat)とは
フランスでの大学入学資格を得るための統一国家試験。高校3年を修了のうえバカロレアを取得すれば原則としてどの大学にでも入学ができますが、プログラムや定員等の一定条件下においてはバカロレアの成績や居住地に応じて入学できる大学が決まります。
フランスの高等教育機関には多種多様な形態があり、主要なものとしてはコレージュ・ド・フランスのように学位を交付しない機関から、学士博士といった学位を交付する公立の総合大学、資格・免状を授与する私立学校、そして修士号に相当する資格・免状を与えるグランゼコールなどがあります。学位・資格の種類は多く、高等教育機関のプログラムも30,000を数えます。
大学 Universites
その90%以上にあたる公立大学が70校以上、公立高等美術大学が40校以上、建築大学が20以上あります。文学、外国語、芸術、心理学、歴史、経済、法律といった様々な分野を単・複数履修ができる一般教養課程、電子工学や情報処理といった技術者を養成する職業教育課程の2種類に分かれます。大学では学士・修士・博士号が交付されます。
グランゼコール Grandes Ecoles
グランゼコールは、学士から修士までが一体になった18世紀からあるフランス独自の教育機関として名高く、主に官僚や産業界の幹部養成が目的とされている。入学のためにはリセや予備校を修了後、難易度の高い選抜試験に合格して3~5年間の課程に進みます。工学系200校以上、経営学系約200校、高等師範学校(Ecole Normale Superieure)4校、国立獣医学校(Ecole Nationale Veterinaire)4校など。学費は高額で最高クラスの教育が与えられます。
高等専門学校:Ecoles et instituts Specialises
将来目指す職業分野によって福祉、看護、建築、美術、ジャーナリズム、通訳・翻訳などが学べます。受け入れに柔軟な学校から、難易度の高い選抜試験の通過が求められる学校まで入学基準が異なります。
フランスへの留学準備
留学期間とビザの有無
- 3か月間未満の留学:学生ビザは不要。留学であってもビザなしで90日間までの滞在が可能です。
- 3か月間以上の留学:日本出発前に学生ビザの取得が必要とされます。ビザの有効期限は最長で1年間、現地到着後には移民局への手続きも必要とされます。6か月以上の留学では、ビザが失効する2か月前までに現地で滞在許可証を申請することで滞在の延長が可能です。一方4~6か月間の留学については、一時滞在長期ビザが発給される場合があり、その際は現地での滞在許可証の申請ができません。
フランスビザについての詳細、最新情報は在日フランス大使館の情報をご参照ください
申し込みの時期
短期留学であれば出発の1~2か月前までには、そして学生ビザが必要な場合は出発の3~4か月前までに申し込みをすると手続きに余裕ができます。
地理
フランスは国土のほか地中海に浮かぶコルシカ島、南米のフランス領ギアナ、カリブ海のマルティニーク、グアドループ、インド洋のレユニオンといった4海外県、さらにはニューカレドニアやフランス領ポリネシアなどオセアニアの属領をも含みます。その面積は西ヨーロッパ最大であり、フランス本土だけで日本の約1.5倍、可住地の広さも日本のおよそ3.5倍にも達します。
- 首都:パリ
- 面積:64万㎢
- 人口:約6600万人
- 宗教:カトリック(70%)
- 言語:フランス語
- 民族:大半がフランス人
気候
フランスの全体的には温暖ですが、細かくは海洋性、大陸性、山岳性、地中海性の4つに区分され、西部と東部、そしてロワール川を隔てた南北で異なります。
一般的には通年を通して気温が穏やかで降水量、日照量ともにバランスが取られています。ただ北部と西部はより涼しく湿潤で、地中海周辺はより高温で乾燥しています。
冬は西部の山岳地帯はウィンタースポーツのメッカとして人気があります。平野部での雪は、降るのは主にパリ付近を除くロワール川以北です。
春は南部では天気が良ければ20℃を超え、ニースやカンヌでは、シーズン最初の海水浴客も見られるでしょう。5月以降になると日照時間が長くなり、多くのフランス人が田舎に出かけたり、テラスでアペリティフを楽しんだりと屋外の時間を楽しむようになります。
夏は湿気は少ないものの暑く、太陽がフランス全土に照りつけます。南部は30℃を超える日が続き、日焼けを楽しむためビーチで過ごす多くの人々が見られます。また山岳部ではトレッキングやハイキングでフランスの地方の魅力を発見することもできます。
秋は雨が降りやすく、年末に向けて気温もぐっと下がります。フランス全土では紅葉が見られ、日が短くなっていきます。
時差
現在の日本とフランスとの時差は、8時間。日本が8時間進んでいます。なおサマータイム(例年、3月頃~10月頃)の時差は7時間です。
フランス語学力試験
留学生がフランスの高等教育機関へ出願するためには、政府が実施しているフランス語語学試験の成績証明書の提出が求められます。出願に求められる基準は教育機関によりますが一般的には次の通りです。
- 学士課程: DELF B2以上、または、それに相当するTCFの成績
- 修士課程: DALF C1以上、または、それに相当するTCFの成績
なお博士課程であれば、別途フランス語で書かれた研究計画書等や、指導教員の推薦が必要な場合もあり、MBAなどの英語で講義が行われるコースについてはTOEFLやIELTSのスコアが求められます。
DELF / DALF
フランス国民教育省認定の公式フランス語資格(ディプロム)試験で、一度取得すれば無期限有効です。自分のフランス語の能力や知識を証明書として形にすることができます。ヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)に基づき6つのレベルごとに試験があり50%以上の正解率で合格となる記述式試験です。DELF(デルフ・フランス語学力資格試験)/ DALF(ダルフ・フランス語上級学力資格試験)は、CIEP(国際教育研究センター)が認可した試験センターでのみ開催されます。
TCF
Test de Connaissance du Français は、フランス国民教育省認定の総合的なフランス語学力を測る試験です。合否はなく点数に応じて欧州共通基準(CECRL)定める6レベルから判定されます。DELF・DALFの受験に際して、どのレベルを受験するべきかの判断基準にもなります。受験者にはテストの成績を記載した証明書(有効期間2年)が発行されます。TCFは国際基準・統一規格の語学試験で、文法、読解、聞き取りで構成される必須試験と2種類の補足試験があります。フランス留学を目指す者に最 適な試験です。
フランスの語学留学
学ぶ学校の形態は
A. 私立語学学校
少人数制クラス、コミュニケーション能力の向上を目的とした授業が特徴。ほぼ毎週月曜日から入学できる学校が多く、期間も週単位で申し込むことができるため受け入れに柔軟です。
B. 大学付属語学学校
学期制での入学が可能で、クラス人数は多め、また授業も読解や文法を重点的に学ぶ傾向があります。料金的には私立学校よりも安価で現地の大学生との交流が図れる機会も期待できます。
出発前に必要なフランス語学力は
フランス語入門レベルであればビギナーの受け入れを行っている私立語学学校が無難。しかしフランス到着後のスムーズな語学力の向上や現地生活のスタートが行えるため、基本的な語彙や文法などの学習をされることをお勧めします。
費用について
学校によりますが月当たりの予算(授業料・宿泊費・現地諸経費)は22~30万円に渡航費(航空券や海外旅行保険など)を見込んでください。一般的にパリは語学学校の料金が高く、生活費もかさむ傾向にあります。長期留学を考えている方は地方都市→パリの2都市プランで留学費用を抑えることも可能です。
フランス語のほかに学べる内容は
短期のプログラムであれば、フランス料理やワイン、ファッションや文学などフランス文化に触れられるプログラムを提供している学校があります。
滞在タイプの種類は
私立語学学校であればホームステイのほか、学生アパートやレジデンスの手配を行っているところが多く、大学付属語学学校はその大学の学生寮に宿泊できるところもあります。