私が大学二年生でアメリカへの長期留学が決まった時、当時お世話になった留学カウンセラーの方に口を酸っぱくして言われたのが、「決して日本人同士で行動しちゃいけないよ」ということ。
また、数々の留学体験談や留学成功への教本を覗いても、この言葉はいたるところに見受けられると思います。
では、本当に日本人と行動することはマイナスなのでしょうか?
1年間のアメリカでの交換留学を経て、私が感じたことは必ずしもそうではないということです。
「必ずしもそうではない」ということは、もちろんマイナスの面を少なからず含んでおり、日本人と行動することを全肯定するものではありません。
私個人の感覚でいえば、ある一定のルールの下であれば、むしろ行動することにプラスの意義を与えられる、という程度のものです。
では、そのルールとは何か、それを紐解いていきましょう。
アメリカ留学に至った背景
私の留学はある一つの挫折から始まりました。
挫折を経験して、目標もなくただただ日々を過ごす私に、当時友人が勧めてくれたことが留学でした。
そのため、もともと留学に強い意識を持っていたわけでも、ましてや国際的な仕事をしたいと思っていたわけではありません。
留学に踏み切った理由は、挫折したという事実からの逃避でした。
そんな逃避行の行き先は、留学先として定番のアメリカ。
ただし、当時犯罪学を学びたかった私は、ロサンゼルスやニューヨークといった大都市ではなく、アメリカの歴史が色濃く残る南部を行き先として選びました。
人気都市ではないため、日本人も両手で足りる程度でそういう意味では比較的外国人と生活を共にしていたことの方が多かったかもしれません。
しかし、そんな中でも私が日本人と共に行動した際に学んだことの1つ1つが、他では得られない貴重なものだったと思っています。
海外留学中に日本人と共にいることのデメリット
前段階として、なぜ日本人と一緒に行動することを注意されるのでしょうか。
想像することは容易いと思いますが、まず日本語を話してしまうということ。
せっかく日常会話や授業を英語で聞いているのに、合間合間に話す日本語のおかげで、英語に慣れかかっている頭脳言語が再び日本語に引き戻されてしまいます。
実際にそれを体感することは難しいと思いますが、意外にもこれは本当で、私の友人でもいつも外国人と一緒にいる人といつも日本人と一緒にいる人とでは、たった半期でも英語の上達は驚くほど違いがでます。
また、日本人と一緒にいるということは、不思議と他国の人が近寄りがたい雰囲気を作っていることと同義です。
そのため、「他国の友達ができない…」という時には、今あなたがどの国の人と一緒にいるかを考えてみると、意外にもすぐ解決することができます。
私たちも、自国同士で固まっている人々の間に、いきなり入っていくことをためらいますよね。それと同じです。
共にいることにはメリットもあります
しかし、ここで覚えていてほしいのは、どれも程度問題であるということです。
度が過ぎれば、もちろんデメリットの方が目立ちますし、一方で取り入れ方次第では自分自身にメリットとして返ってくるのです。
現に、私は一年間の留学を通して、一日中日本語しか喋っていない日はありませんが、少なくとも一言二言は日本語を友人と交わしていました。
それでも、自己紹介以外の英語が話せなかった段階から、大学で現地人と肩を並べて授業を受けるまでに達しているのです。
そんな私が考える日本人と共にいることのメリットとは、ずばり2つあります。
1つは、「細かいニュアンスの差異がわかる」ということ。
これは、外国人と生活していては気づけないことの1つだと思います。
お互い同じ英語を話しているのに、同じ場面で使う言葉のチョイスが違う。
そんな時に、「なんで今その言葉を使ったの?」と聞くことができ、その理由を細部まで理解できるのは、母国語の日本語があるから。
もう1つは、日本人コミュニティが意外にも外国人の友達を作るのに役に立つ場面があるということです。
これは私が一番実感したことで、特に留学初期はこの日本人コミュニティに何度お世話になったかわかりません。
しかし、これらはある一定のルールの下で有効な手段だということを肝に銘じておくことが大切です。
守りたいルール
まずは自分自身が英語初心者や中級者であるということ。
留学する段階で、すでにペラペラで上級レベルという方は少ないと思うので、この点についてはたいていの人が当てはまると思います。
そして、その前提の上で、付き合う日本人の選別をすることが何よりも重要です。
その日本人とは、自分と同等かそれ以上の向上心を持つ人であるか、自分以上のコミュニケーション能力があり、友達作りの上手な人です。
実際に私が一緒に生活し、大事な留学中に旅行まで行った日本人の1人は、帰国子女で、将来は航空関係で働きたいと考えていた女の子でした。
私がメリットにあげた1つ目の「細かいニュアンスがわかる」ということについては、彼女を通して経験したものです。
帰国子女のため、もちろん私より語学堪能で、彼女が友達に、フロントに、先生に使った英語一つ一つを聞き逃さないように聞き耳立てて、話をしていたことを覚えています。
同じシチュエーションで、同じ相手に対して、私だったらこう言うということを何度も頭で考え、その度どういう意味で彼女がその言葉を使ったのか逐一聞いていました。
こうすることで言葉のレパートリーが増えたのは間違い無くプラスだったと感じています。
これがもし外国人だった場合、細かい差異まで納得するのは英語初心者では難しいですよね。
また、留学期間は当たり前ですが有限です。
私が一番大切だと思ったことは、いかに英語を早く上達させるためのタイムロスを無くすことができるか、でした。
例えば、自分で一週間かけて友達を1人作るのと、友達を1日で作ることができる人と友達になるのでは、どちらがより早く英語を話す機会を作ることができるでしょうか。
答えは、圧倒的に後者です。
世の中には、圧倒的なコミュニケーションの能力を持っている人や他国の人でも物怖じせず積極的に話しかけていける人がたくさんいます。
私が言いたい事は、彼らを利用しない手はないということです。
彼らが日本人であれば、「紹介してくれない?」や「一緒に遊びに行こうよ」の一言で済むのです。
そうしてできた他国の友達は、別の友達を連れてきてくれます。
そうやって芋づる式に友達を増やし、自分が一番気が合う、一番言語が上達する、という人たちと最終的に付き合っていけばいいのです。
英語がまだまだの初期段階で、自分でできることはたかが知れているということを自覚し、使える手は使ってしまうことが留学を成功させる一番の近道です。
アメリカ留学で感じた日本人と一緒にいること、lまとめ
日本人と一緒にいるべきかそうでないかという談義は、突き詰めていけば埒があかない議題です。
程度問題なので、日本人とずっと一緒にいればもちろん英語力なんてものは身につきません。
結局は個人のさじ加減と言いたいことですが、私個人としては、「人を利用する」という傲慢さは留学ではとても大事な気質だと思います。
そういう意味で、日本人と一緒にいることを選択するのは、アリだと感じます。