台湾・台北市にある大学院に通っている私が気づいた台湾と日本の大学院の違いについてお話したいと思います!

現在は台湾師範大学 台湾史研究所の修士課程に所属しています。(この研究所というのは台湾では大学院のことを指します)

最近は安心安全で日本にも近い台湾に留学する人も増えて来ました。ですので、近年増えている台湾への正規留学希望の方には直接役に立つお話かなと思います。

また、この体験談をご覧になられる方は必ずしも台湾留学希望とは限りませんが、海外の大学院事情として一つの例として参考にもなるかもしれません。「台湾ではこんな感じなんだ」と楽しんで読んでいただければと思います。

人文学系は2年で卒業できない

人文学系は2年で卒業できない

まず、ショッキングな話題から笑

台湾の人文学や社会学の修士は2年で卒業するのはかなり厳しいです。これは外国人だけでなく台湾の学生も同じで、台湾の大学院では学生にしっかりと論文を書かせます。

そもそも、卒業要件の単位も2年でちょうど取り終えるくらい授業や活動の量や負担も少なくなく、それと並行して論文のテーマの研究や執筆が求められます。

なので、論文テーマに関連するものを受講していくと、そこで学んだ内容やレポートが論文につながっていくので早く卒業しやすくなるのではと思います。

そして、各大学や学院によって卒業要件は異なるのですが、一般的に研究発表会への参加回数や発表、雑誌への投稿などが卒業に義務付けられています。

そのため、人文学や社会学系は平均して卒業に3年から3年半かかることが多いですね。他方、経済学やMBA、理工系は2年で卒業するのが一般的なようです。これらを専攻したい方はご安心ください!(笑)

就職活動は卒業後

就職活動は卒業後

このように学術で一定以上の成果を求めるため、自然と就職活動は卒業後になっていきます。このスケジュールは大学の学部も大学院も同じになります。

ですが、私はこの考え方には懐疑的です。なぜなら時間は有限で、とりわけ大切な20代の時間だからです。

海外では多様な経験や人との繋がりもでき、現地の言葉を学び、一生懸命に現地社会や文化、制度を学び、生活している人達は現地の人にも日本人にも高く評価されます。海外大学・大学院留学生はまだまだ貴重な人材なのです。

ですから、中国語などのスキル、生活や学術で学んだこと、人との繋がりや土地勘を活かして、在学中も翻訳や通訳のお仕事、エッセイの執筆、台湾と日本を繋げるお仕事などをするチャンスがたくさんあります。

そうした仕事に取り組む中で、自らのスキルが上がり、世間からの評価を知り、自分の得意・不得意を知って、卒業後のお仕事や進路に繋がるのではと思っています。

だから、「台湾では卒業後に就職活動するから…」と考えず、少し余裕が出てきたら色々な仕事にチャレンジするのをオススメします!きっとそこから未来が拓け、自信にもなると思いますよ。

大学院進学者が多い

大学院進学者が多い

日本では人文学や社会学の大学院に進学する人は少数派ですよね。

そこには就職活動を在籍中にスタートするというシステムがあり、修士1年目から就活しなければならないので、学ぶ時間や大学院で能力が身についていないという事情もあるかと思います。

進学した人も、研究者になりたい人、モラトリアムを楽しみたい人、学部の時に就職でうまく行かなかったという人が多いような印象です。

もちろん、ポジティブな理由で進学する人も少なくないですが、実際に世間からもこうしたイメージが強いのではと思います。

他方、就職が非常に厳しく、学歴重視社会の台湾では大学院に進学する人も少なくありません。学部卒業後そのまま進学する人もいれば、一旦働いてから入学する人、仕事と掛け持ちの社会人入学など色んな人がいます。

なので、同級生の年齢や個性もバラバラです。一番年齢が上の方は60代の方、そして中学校の先生やライターとして活躍しながら学んでいる人もいます。

大学院生に対する社会からのプレッシャーや偏見も日本と比べて弱く、そしてこうした多様な人材や自由な雰囲気の中で学べるのはとっても有意義です。

女性の学部長も多い

女性の学部長も多い

多様性や自由は台湾社会の強みですが、学部長が女性の場合も多いです。

日本で私が通っていた大学では女性が学部長になっているのは皆無でしたし、他の大学でも女性の学部長であることはあまり多くないのではないでしょうか。

私が在籍している台湾の大学は学長も女性、所属する学部の学部長も女性で、他の学部でも女性が学部長であるのは少なくありません。

もちろん、台湾でもまだまだ男女平等とはいえません。上の年代の方の中には古い価値観が根強いですし、女性への偏見もあり、男性中心社会的な部分もあります。

それでも、先日、台湾ではアジアで初めて同性同士の結婚が認められる憲法判断が下されたことが象徴するように、女性の立場や多様な性を理解しようというような社会風土が広がっているのは間違いないかと思います。

そうした風土が学長や学部長になっている女性が多い一因かもしれません。

海外の大学・大学院で学ぶということ

このように台湾と日本の大学や大学院ではたくさんの違いがあります。でもきっとこの違いからたくさんの学びがあり、それが将来に生きると思っています。

日本で活躍するには日本の常識や社会や文化について学ぶのも大事ですが、とくに大学院では日本から場所を変えて国を問わず海外進学するのはすごくオススメです!

きっとこの経験や学びがこれからの人生を後押ししてくれると思いますよ!