子供を留学させたい、そのとき親が注意すべきこととは

日本でも国際化が進む今、できればうちの子供も海外留学に送り出してあげたいと考えている親御さんは少なくありません。

海外留学は大学生になってからという考えはもはや古く中学生や高校生の夏休みの短期留学や、カナダやニュージーランド、オーストラリアなどへの高校進学留学も一般的になってきました。

しかし、子供を海外留学に送り出すときに経験を積ませてあげたいという親の気持ちと実際に留学に行く子供さんとの気持ちのズレがあることも少なくありません。

10代のうちに子供に海外留学をさせたいというお母様、お父様にどういう点に注意しなければならないか、留学エージェントの立場からご案内できればと思います。

子供に海外留学をさせたい親の変化

今や英語は世界共通語。インターネットの情報も英語が読めれば入手できる情報は倍以上になります。

たかが英語、されど英語、やっぱり英語を自在に使えるようになりたいという思いは日本人共通ではないでしょうか。

ひと昔前まで英語が話せないことにコンプレックスを持つ親御さんが自分の子供に自分の苦労を味あわせたくないと思って留学させるということが多くありました。

ところが今や親自身も海外留学経験があり、その留学経験で得たもの、感じたものを自分の子供にも体験させたい、自分が留学した年齢よりも若いうちに経験することで自分よりももっと英語がネイティブに近づくと考えることから子供に海外留学をさせてあげたいと思う親御さんが増加しています。

共通言語を失っても

子供の海外留学は早いことに越したことはない

5歳の子供を単身ボーディングスクール(寮制学校、ハリーポッターがまさにそれ)に留学させた母親がいました。

子供も日本でインターナショナルスクールに通学していたので、英語にはなんの抵抗もなくこの年齢で母親から離れて留学。

日本の環境から一変、学校も生活の場である寮もすべてが英語なのですから、その子供の英語力はめきめきとアップし、ネイティブ並みの英語力が身につくのに長い時間はかかりませんでした。

しかし、それに反比例して日本語はみるみる失われて行きます。

海外留学の合間の長期休暇で帰国する度に、その子供は母親との日本語での会話が成り立たなくなってしまったのです。

海外留学に低年齢の子供を送り出した母親の覚悟

母親は英語ができません、かと言って母親の英語力アップを待つことはできません。

そこで、留学先で日本語の家庭教師をつけることにしました。

ところが、週1~2回程度の日本語レッスンでは日本人というアイデンティティを維持するレベルには到底ならず、会話はできても書けない、読めない!日本人として生きることを捨てざるを得ない留学になりました。

それでも、母親はぶれていませんでした。ネイティブ並みの英語力で生きて行くことを覚悟の上で「子供に留学をさせる」という選択をしたことを、子供との、言葉でのコミュニケーションを失った今でも、この信念を貫き通しています。

距離をおいて見えたお互いの本音

子供が中学で不登校になり、母親とのぶつかり合いも数年続き、藁をもつかむ思いで子供の海外高校留学を選択した母娘がいました。

不登校の原因も回りの同級生よりも精神的に大人びており、友人とも合わない、教師も扱いに困るという状況によるものでした。

留学先では、日本で評価が低かった絵画を高く評価されるなど彼女の良い面を引き出す教育に触れ、彼女は大きな自信を持つことができるようになりました。

また、同室のドイツ人留学生と無二の親友となり、彼女を一番に理解してくれる人に出会うこともできました。

このような体験から彼女は日本の家族の有難味を感じるようになりました。

特に、これまでの反抗的態度や言動を受け止めてくれた母親には心から感謝をするようになりました。

留学当初の変化(髪は金髪、派手なメーク)も時間と共に落ち着きを見せ、成績も上がって無事に留学先の高校を卒業することができ、日本の大学へ進学することになりました。

親として人生の選択肢を増やしてあげて子供に決めさせる

小学校卒業と同時に留学させたいと考えていた母親は、卒業までの間、時間をかけて子供を留学へと向かわせる準備をして、子供自身が留学したいという気持ちになるのをじーっと待っていた家庭がありました。

毎夏、サマースクールに参加して親元を離れること、英語で生活をすること、様々な国から参加する同年代の友達との交流を学んで行きました。

小学校卒業時には本人も留学の意志を固め、母親と数校の見学をして納得した上で、本人が希望する留学先を決定し、素晴らしい留学生活を手にしました。

教育の機会、人生の選択肢を与えるのは親ですが、選択は本人がする、当たり前のように思いますが、これがなかなか難しいのです。

留学を選択しなかった場合、母親はどうするのでしょう。無理にでも留学を強行するのでしょうか。

子育ては待ちだと思います。

それぞれの子供の旬を見極めることが大切なのではないかと思った経験でした。

親子留学について

韓国には「キロギ・アッパ」という言葉があります。日本語では「雁の父親」という意味ですが、1989~2005年頃に多くみられた社会現象です。

子供を海外に留学させる際、早期留学で幼い子供を海外で生活させることを心配した母親が、子供の留学先に付き添い、父親が単身韓国に残り留学費用を送金する父親を指す言葉です。

同様に、子供と母親が留学先に一緒に行き、子供は平日はボーディングスクールに滞在し、週末のみ母親が暮らす家に戻って生活をする日本人親子がいました。

ウィークデーのみの寮で生活する学生を「ウィークリーボーダー」と呼びます。ウィークリーボーダーは週末に母親に会えるので、日本語で話もできますし、ストレスが多い寮生活のガス抜きもできるので子供も安心して勉強に集中できます。

でも、こんな生活ができるのは父親が日本で経済的なサポートをしているからなのです。経済的に恵まれた富裕層でもない限り望めない留学と言えるでしょう。

韓国のキロギ・アッパは単身生活からの健康悪化や家庭崩壊、離婚増加を引き起こすなど社会問題になったそうです。父親の負担は大きいものです。

日本は韓国のように家庭の絆を大切にする儒教文化ではないですし、単身赴任は一般的なことから経済的な余裕があれば、母子留学も問題ないのかもしれません。

でも、そもそも留学は、親元離れて自立することが本来の目的であるはず、「可愛い子には旅をさせよ」は死語なのでしょうか。

子供の海外留学と親の関係に関するまとめ

今回紹介させていただいた例は、ほんの一部です。

子供に留学させるのは大きな決断です。お試しができない分、子供の将来をひとりで悩むことは良策とは言えないでしょう。

iae留学ネットにも親子でご相談にいらっしゃる方がたくさんいますので、是非お父様、お母様もお気軽にオフィスへご来社くださいませ。