「留学は学生のもの」と思われがちですが、社会人がキャリアを一時中断し、新たなスキルを学ぶために海外へ飛び出す「社会人留学」も増えています。

語学力向上はもちろん、異文化での経験や専門スキルの習得は、今後のキャリアに大きなプラスとなるでしょう。

しかし、仕事を辞めての留学は、計画的な準備が欠かせません。資金面の管理、ビザ申請、退職のタイミングなど、事前に考えるべきことは多岐にわたります。

本コラムでは、退職から渡航までの流れを時系列で解説し、スムーズな準備をサポートします。夢を実現するための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

社会人留学とは?

社会人が留学を決意するタイミングは人それぞれですが、主に以下の3つのパターンがあります。

1. 有給や長期休暇を利用する

短期間の語学研修やスキルアップを目的に、1週間~3か月程度のプログラムに参加するケースです。仕事を辞めずに学べるため、キャリアへの影響が少ないのが特徴です。

2. 転職の合間に行く

退職と次の仕事の間に数か月~1年ほどの留学を挟むケースです。語学力の向上や専門スキルを身につけることで、キャリアの選択肢を広げることができます。

3. 会社を辞めて留学する

キャリアチェンジやMBA取得、ワーキングホリデーなど、新たな挑戦のために思い切って退職し、長期留学するケースです。計画的な準備と資金管理が重要になります。

キャリアを中断してでも挑戦する価値

社会人が留学を決断する際、「キャリアの中断」を不安に感じる人も多いでしょう。しかし、長い職業人生の中で、一時的に仕事を離れてでも得られる価値は計り知れません。

まず、語学力や専門スキルの習得は、グローバル化が進む現代において大きな武器になります。英語力の向上はもちろん、MBAやデザイン、プログラミングなどのスキルを身につければ、転職市場でも有利になるでしょう。

また、異文化の中での適応力や挑戦する姿勢は、柔軟な思考や問題解決力を養います。日本では得られない視点を持つことで、新たなキャリアの可能性が広がることもあります。

さらに、人脈の拡大も大きなメリットです。世界中の人とつながることで、新しいビジネスチャンスやキャリアの選択肢が生まれることもあります。

留学計画から渡航までのロードマップ

社会人留学を成功させるには、計画の立て方や退職手続き、ビザ取得など、段階的な準備が欠かせません。

ここでは、留学計画から渡航までの流れを時系列で解説いたします。

留学計画のスタート(12~18か月前)

社会人の留学は、仕事や生活を整理しながらの準備が必要なため、早めの計画が成功の鍵となります。ここでは、渡航の1年以上前から取り組むべき準備について解説します。

留学の目的を明確にする

まず、「なぜ留学するのか?」を明確にさせましょう。語学力向上やキャリアアップ、MBA取得、リスキリング(新たなスキルの習得)など、目的によって選ぶべき国やプログラムが変わります。

目的が曖昧だと、途中で方向性を見失うこともあるので、しっかり整理しておきましょう。

渡航先・留学プログラムの選定

目的が決まったら、最適な国や学校を選びます。英語圏だけでなく、専門スキルを学ぶなら欧州やアジアも選択肢に入ります。

留学エージェントへの相談は、この時点で検討すると良いでしょう。プロの視点で、希望に合った学校やビザの条件などを提案してもらえます。

必要な資金の試算と貯金計画

留学にかかる費用は、授業料・生活費・渡航費などを含めると、数百万円に及ぶこともあります。希望するプログラムの費用をリサーチし、無理のない貯金計画を立てましょう。奨学金や教育ローンの活用も視野に入れると選択肢が広がります。

情報収集と準備(9~12か月前)

留学の概要が決まったら、さらに具体的な準備に入る時期です。この段階では、エージェントとの相談を本格化させ、語学力やキャリアの整理を進めていきます。

留学エージェントとの計画のすり合わせ

すでにエージェントに相談している場合は、希望のプログラムに沿った具体的なスケジュールを詰めていきます。学校の出願時期やビザ申請のタイミング、必要書類の準備について確認し、スムーズな手続きを進めるためのロードマップを作成しましょう。

エージェントをまだ利用していない場合は、信頼できるところを選び、早めに相談を開始するのがおすすめです。

必要な語学力の確認と学習計画

多くの留学プログラムでは、一定の語学力が求められます。英語圏ならTOEFLやIELTS、専門プログラムなら追加の試験が必要な場合もあります。

現時点の語学レベルを把握し、目標スコアを取得できるよう学習計画を立てましょう。語学学校に通う、オンラインレッスンを受けるなど、早めの対策が合格の鍵となります。

退職時期の検討とキャリアの棚卸し

退職のタイミングは、留学開始時期と照らし合わせて慎重に決める必要があります。また、帰国後のキャリアプランも考えながら、これまでの経験やスキルを整理し、履歴書や職務経歴書の準備を進めましょう。

キャリアコーチングを受けたり、転職市場の動向をリサーチしたりするのも有効です。

留学申し込み&ビザ準備(6~9か月前)

いよいよ留学の具体的な手続きを進める段階です。学校への申し込みやビザ取得の準備を着実に進め、渡航に向けた土台を固めていきましょう。

学校やプログラムの申し込み

希望する学校やプログラムへの出願を行います。英語圏の大学や専門学校では、TOEFLやIELTSのスコア提出が求められる場合が多く、必要に応じて推薦状やエッセイの準備も必要です。

エージェントを利用している場合は、提出書類や出願プロセスをしっかり確認し、締切を厳守しましょう。語学学校の場合は比較的手続きが簡単ですが、人気のプログラムは早めの申し込みが重要です。

ビザ申請に必要な書類準備

国によってビザの種類や申請手順が異なるため、最新の情報を確認しながら進めます。学生ビザの申請には、学校からの入学許可証(I-20やCASなど)が必要になることが多く、学費の支払い証明や財政証明も求められます。

エージェントや大使館のサイトを参考にし、必要書類をリストアップして早めに準備を進めましょう。

健康診断や予防接種の確認

国や学校によっては、入学前に健康診断や特定の予防接種の証明が求められることがあります。

特にアメリカやカナダでは、麻疹・風疹・B型肝炎などのワクチン接種が義務付けられることがあるため、かかりつけ医や指定病院で必要な手続きを済ませておきましょう。海外留学保険の加入についても、この時期に検討を始めると安心です。

この時期は手続きが多くなるため、スケジュール管理が重要です。余裕を持って準備を進め、渡航直前に慌てることがないようにしましょう。

退職手続きと生活整理(3~6か月前)

留学に向けて、仕事を辞めるタイミングや生活の整理を行う時期です。この段階では、退職に関する手続きや日本での各種対応をしっかりと進めていきます。

退職のタイミングと伝え方

退職のタイミングは、留学先の出発日を考慮して決めましょう。仕事の引き継ぎや最終勤務日を早めに上司や同僚と調整し、退職の意向を伝えることが大切です。

退職を伝える際は、感謝の気持ちと留学に行く目的をしっかり伝え、円満に退職できるよう配慮しましょう。辞表はなるべく早く提出し、退職日から逆算して有給休暇の消化や転職先の面接が必要な場合は、その調整も考慮します。

住居の整理・解約手続き

住んでいる賃貸物件がある場合、退去通知をするタイミングを見計らいましょう。契約内容を確認し、解約手続きを進めます。必要に応じて荷物を整理し、引越しを手配します。

また、公共料金(電気・ガス・水道など)の解約手続きもこの時期に行います。住居の整理が完了したら、新しい住居の契約を現地でする場合は、現地で住居探しを始める準備をしておきましょう。

日本での手続き(住民票・税金・年金の対応)

住民票は、長期間留学する場合は「転出届」を出す必要があります。また、税金の申告についても、日本に住所がある場合、所得税や住民税が発生しますので、必要な手続きを行います。

年金の支払いについては、国民年金の保険料免除や、納付方法を確認しておきましょう。帰国後に問題が起きないように、日本での生活に関連する手続きをしっかりと済ませます。

この時期の準備が、留学生活のスタートをスムーズにするための重要なステップです。余裕を持って進めるよう、計画的に手続きを進めましょう。

出発直前の準備(1~3か月前)

いよいよ留学が目前に迫ってきました。この時期は、最終的な手続きや荷造り、現地生活の準備を進める重要な段階です。万全の状態で出発できるよう、一つずつ確実に進めていきましょう。

航空券・海外保険の手配

航空券は、早めに予約することで費用を抑えられます。渡航先によっては片道航空券では入国できない場合があるため、ビザの条件を確認した上で購入しましょう。

また、海外留学保険への加入も必須です。医療費が高額になる国では特に重要なため、補償内容を比較し、自分に合ったプランを選びます。

持ち物リストと荷造り

留学先の気候や生活スタイルに合わせて、必要な持ち物をリストアップし、荷造りを始めます。パスポートやビザ、入学許可証、国際免許証、予防接種証明書などの重要書類は、すぐに取り出せるように整理しておきましょう。

また、電子機器(PC・スマートフォン・変換プラグなど)や日用品、現地で手に入りにくいものも事前に準備します。スーツケースに入りきらない荷物は、国際宅配便の利用も検討しましょう。

渡航先での住居や生活環境の確認

住居が決まっている場合は、入居日や契約内容を再確認し、到着後の流れを整理しておきます。未定の場合は、一時的な滞在先を確保しておくと安心です。

また、公共交通機関の利用方法、銀行口座の開設、SIMカードやWi-Fiの契約など、現地での生活環境を事前に調べておくことで、スムーズに新生活を始められます。

いよいよ渡航!現地での最初の1週間

ついに留学生活がスタート!

到着後の最初の1週間は、生活基盤を整え、学校に慣れる大切な期間です。スムーズに新生活を始められるよう、やるべきことを整理しておきましょう。

1. 到着後のチェックインと初日の過ごし方

飛行機を降りたら、まずは入国審査を済ませ、預け荷物を受け取ります。空港から宿泊先(ホームステイや学生レジデンス)へ移動し、ホストファミリーや管理スタッフに挨拶しましょう。

長時間のフライトで疲れているので、無理に動き回らず、軽く周辺を散策する程度にとどめ、体調を整えることを優先します。

また、初日のうちに学校までの道のりを確認し、通学に必要な持ち物(パスポートのコピー、筆記用具、ノートなど)を準備しておくと安心です。

2. 学校初日:レベルチェックテストとオリエンテーション

語学学校や大学のプログラムでは、最初に語学力チェックテストが行われることが一般的です。このテストの結果でクラス分けが決まるため、リラックスしつつも真剣に取り組みましょう。

その後、オリエンテーションが行われ、学校のルールや施設の使い方、授業のスケジュールについて説明を受けます。分からないことがあれば、このタイミングで質問しておくと良いでしょう。

3. 生活インフラの整備

学校が終わった後、生活に必要な手続きを進めます。

  • 交通カードの購入(現地のICカードを取得し、通学ルートの確認)
  • SIMカードの購入・Wi-Fiの設定(スマホが使えるようにしておく)
  • スーパーや銀行のリサーチ(食材の買い出しや現金引き出しの準備)

この1週間は、無理せず少しずつ環境に慣れることが大切です。焦らず、留学生活の土台を整えていきましょう!

成功する留学のために

留学は人生において大きなチャレンジですが、しっかりと計画し、準備を進めることで充実した経験にすることができます。

ここまでの記事を振り返り、成功する留学のためのポイントを整理しましょう。

1. 早めの計画と準備が成功のカギ

留学は12〜18か月前から準備を始めるのが理想的です。目的を明確にし、どのようなプログラムが適しているかをリサーチすることが重要です。また、資金計画を立て、必要な費用をしっかり把握しておきましょう。

2. 語学力の強化とキャリアプランの整理

留学の成果を最大化するためには、事前の語学学習が不可欠です。特に社会人留学では、短期間での成果が求められるため、渡航前から学習習慣をつけておくことが重要です。

また、帰国後のキャリアについても考え、どのようなスキルや経験を得るのかを意識しておくと、より充実した留学になります。

3. 渡航前の手続きを漏れなく進める

退職手続きや住民票・税金・年金の対応など、日本での生活整理を計画的に進めることが大切です。また、ビザ申請や海外保険の手配、渡航先での住居確保など、直前になって慌てることがないよう、余裕を持って準備しましょう。

4. 現地での適応と積極的な行動

到着後の最初の1週間は、生活基盤を整える重要な期間です。通学ルートや必要な施設を確認し、徐々に現地の環境に慣れていきましょう。また、留学生活を充実させるためには、積極的に現地の人と交流し、新しいことに挑戦する姿勢が大切です。

5. 柔軟なマインドで楽しむこと

留学中は、予想外の出来事や文化の違いに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、失敗を恐れず、新しい経験を楽しむことが成功への近道です。自分の成長を実感しながら、留学生活を最大限に活用しましょう。

しっかりと準備を進め、目的を持って行動することで、留学は貴重な経験になります。新たな一歩を踏み出す皆さんが、充実した留学生活を送れることを願っています!

帰国後のキャリアプランも考えておこう

留学は現地での経験だけでなく、帰国後のキャリアにも大きく影響を与えます。

せっかくの留学経験を最大限に活かすためには、渡航前や留学中から帰国後のキャリアプランを考えておくことが重要です。

1. 留学経験をどのように活かすかを明確にする

帰国後の就職・転職活動では、「なぜ留学したのか」「留学を通じて何を得たのか」を明確に伝えられることが重要です。語学力の向上だけでなく、異文化理解、海外でのネットワーク、専門スキルの習得など、具体的な成果を整理しておきましょう。

2. 転職活動のタイミングを考える

転職のタイミングは、帰国後すぐに動き出すか、しばらく時間をかけるかで異なります。留学中から興味のある業界の動向をチェックし、企業の採用スケジュールを把握しておくとスムーズに進められます。転職エージェントを活用するのも一つの方法です。

3. キャリアに直結するスキルを磨く

語学力だけではなく、留学先で得られるスキルをどのように活かすかも重要です。例えば、マーケティングやITスキル、異文化マネジメント能力など、キャリアアップにつながるスキルを意識的に習得することで、帰国後の選択肢が広がります。

4. 人脈を活かしてチャンスを広げる

留学中に築いたネットワークは、帰国後のキャリアにも大きく役立ちます。留学先で知り合った人々やインターンシップ先の企業とのつながりを維持し、帰国後も情報交換を続けることで、新たなキャリアの可能性が広がるかもしれません。

5. 日本と海外の両方の可能性を考える

帰国後に日本での就職を考えるのはもちろん、海外での就職やリモートワークなど、新しい働き方も視野に入れると、より柔軟なキャリアプランが立てられます。留学で培ったスキルや経験を最大限に活かし、自分らしいキャリアを築いていきましょう。

留学はゴールではなく、新たなキャリアのスタートです。帰国後の展望をしっかり考え、留学経験を活かして次のステップへと進んでいきましょう!

社会人留学をご検討の方はiae留学ネットへ

この記事では社会人の方の留学ロードマップとして、留学計画から退職、渡航までの流れをご説明いたしました。

社会人の方は思い立って留学に行けるわけではありません。仕事や家などを整理する時間も必要になるので、計画的に考えていくことが必要となります。しかし、一度留学に行けば英語力のみならず、人脈・仲間づくり、異文化適応力、ビジネスにおける専門性などのスキルを磨く良いチャンスがたくさんあります。

ぜひ、社会人の方で留学をキャリアアップの足掛かりとしたい方は、一度カウンセラーまでご相談くださいませ!

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